バド・パウエル「The Amazing Bud Powell vol.1」
Bud Powell - Un Poco Loco [Alternate Take No. 1] - YouTube
帯の紹介文から。
「〈ウン・ポコ・ローコ〉の3ヴァージョンから始まる悲運の天才ピアニストの炎のセッションを記録した不滅のアルバム」
この文は、アルバムを本当に、過不足なく表現していると思う。他のアルバムだと、紹介文と聞いた内容でミスマッチすることがある。でもこれは、上記の表現が正しい。
本当に、いきなりウン・ポコ・ローコという曲が3テイク続くのだが、聞いていて飽きさせない。というか、むしろのめり込んでいってしまう。正に炎のセッション。
バド・パウエルは、言わずもがなモダン・ジャズの開祖の1人であり、ピアノトリオを確立した天才ピアニストである。バド・パウエルの特徴といえば、迫力のある早弾きと、バラードにおけるリリカルなタッチのピアノ。そのスタイルは、更新のプレイヤーに大きな影響を与え、ソニー・クラークやハンプトン・ホーズ等のパウエル派と呼ばれるピアニストが続出した。私は最近まで、パウエルのピアノはいささか苦手であった。あまりに熱がこもっていて、うまく聞き取れない。
ただ、初めて聞いた時から半年後に改めて聞いてみると、おおっ!となる箇所が多く、一気にパウエルに惹き込まれた。多分、耳がジャズにカスタマイズされてきたからだと思う。
本アルバムは、ブルーノートに残されたパウエルの音源を纏めたものであり、冒頭のウン・ポコ・ローコ3連弾以外にも、天才トランペッターのファッツ・ナバロとの共演があり聞きどころが多い。ピアノトリオが好きな人は是非一度聞いてみて欲しい。